2003年版


最新版  2007年版  2005年版  2004年版  2003年版  2002年版  2001年版  2000年版  1999年以前 

勝手に人を分類しよう! Update:2003.12.12.

 世の中には2種類の人間がいる。それは白い人黒い人である。この白黒の定義については極めて私個人的な裁量で決定されるのでそのロジックを公開せよと言われても不可能である。人々は私の大脳で勝手にジャッジされ、勝手に白と黒に分類されてしまうのである!どーだぁ、マイッタかぁ〜!わ〜っはっはっはっは(笑)!

・・・・・・ウップス、大変失礼しました。

 しかし実際は、人間本当の姿なんてきっと死ぬまで他人には見せないから、ある人のコアの部分は誰にもわからない。(これは「心の闇」のところでも書いたね)つまり「真の白黒」はわからないのである。が!しか〜し!表面、あるいは一皮むいた脂肪の部分で、その人がどんな人間かはある程度判断することはできる。その部分を色分けしたのが今話題の(勝手に僕が話題にしているだけだが)黒い人、白い人である。
 理解の悪い労働者諸君のためにもう少しだけかみ砕いてあげよう。例えば電車の中で、座っていた少年が老婆に席を譲るシーンを目撃したとしよう。あなたは友人に対してどう語りかけるだろうか。「あ、あの子エライねえ。」これはストレートである。白い人だ。「いや、きっとあのガキ、好きな女の子が見ているからポーズでやったんだよ。やだねえ。」これはかなり曲がった見方である。黒い人だ。簡単に言えばこれが分類方法である。しかし実際には後者のような見方をした場合でも、口をついて出る発言は前者のようになる人が多い。つまり心の中は結構黒いことを考えていてもそれを口に出さない人だ。これは私は敢えて白い人に分類したい。口に出さないと周りは認知できないからね。当然、心の中で黒い事を微塵も考えない人は純粋なる白い人だ。これは賞賛されるべき人生です。そのまま無垢のまま大きくなって欲しい(そんな人がいるのかどうか疑問だが)。では黒い人とはどういう人か。強いて言えば「心の中で湧いた黒い話題を口にだして楽しんでしまう人」という事である。最近はこのタイプが増えたように思う。

 人間は生まれた瞬間は文字通り純真無垢である。漂白したように真っ白な心でこの世にリリースされるわけだ。私は基本的にこの性善説を信じる。しかし成長の過程で様々な外的要因、内的要因を受けて徐々に徐々に黒く染まってゆく。ただ全ての場合において黒が決して悪いわけではない。黒は強烈なユーモアになることもあるし、人を鼓舞することもある。黒い本音を言わないと信用されず人間同士のコミュニケーションがとれないこともある。そうなんだけど、やっぱり目指すべきは白い人ではないか。

これとは別に人を分類するもう一つの方法を思いついた。主に会社員の知り合いを当てはめると面白い。以下のメイトリックスを参考に自分をあてはめてみて欲しい。ちなみに僕は王様(笑)。ま、そんなもんだろ。


通り過ぎた想い出に Update:2003.11.1.

 バブルの余韻を引きずる20世紀末のとある春、私は20数年共に暮らした家族と離れる決心をした。別に親兄弟と喧嘩したわけでも、通勤時間がつらくなったわけでもなく、とにかくそう決めたのだった。今から考えれば理由らしい理由はひとつだけ。24時間の自分の時間を自分自身の稼ぎで生み出したいそれだけ。ほとんどの人間は生まれたときに家族と同居している。そしてほとんどの人間は死ぬ直前まで新たな家族と同居することになる。その2つをつなぐプロセスとして「一人暮らしのプロセス」を経験するかどうかはその人の選択である。私は家を出ることにした。自分には一人暮らしのプロセスが欠けると人生の深みも渋みも味わえないような気がしたのだ。そんなことではいつかネスカフェ・ゴールドブレンドのCM出演の依頼が来たとき困るじゃないか。ともかく、その旨を家族に告げた。(ネスカフェの話ではない。念のため)

 うちの家族は世間様の平均レベルよりもたぶん家族の絆が強い。男4人兄弟というと、むさ苦しく殺伐とした緊張感のある、北斗の拳の暴走族がたむろするようなそんな家庭を想像するかも知れないがうちは違った。両親が米国で結婚し、米国流のハイソサエティでソフィスティケイトされた教育を施したせいであろうか(ちなみにうちの両親は自分たちのことを「ダディ、マミー」と呼ばせていた。私は小学校高学年なる頃までどこの家でもそうなのだと信じて疑わなかった・・マジで。)。子は親を尊敬し、クリスマスや誕生日にはお互いにプレゼントを贈り(これは今でも続いている)、何か祝い事があるときには家族が都内のホテルに集合して豪華なディナーをとった。札幌にいる母方の祖父母に会いに行くときは千歳空港まで運転手つきのリンカーン・コンチネンタルが小汚い小学生の兄弟を迎えに来たものだ(この車は現在うちの父が引き取っている。僕が生まれた年に製造された車なのに今でもピンピンしているのだ!)。なんかちょっとバタくさい家族だ。嫌みに聞こえたら申し訳ないがホントにホントなのだ。これだけでも私が一般庶民からかなりかけ離れた人間であることがよくわかるだろう。エヘンエヘン。(坂本竜馬風)

 話が横道にそれたが、そんなわけで絆の強い家族なのだが、それでも私が家を出ることに両親も兄弟も特に驚かなかった。驚かなかった理由のひとつには年齢がある。当時もう25歳。トシちゃん25歳なのだ。独り立ちしてもおかしくない年齢だった。アフリカのなんとか族なら割礼の儀式を受けて、足にひもをつけてヤグラから飛び降りる年齢だ。しかし家族が驚かなかったのは年齢の問題だけではなかった筈だ。たぶん家族の誰もが心の奥底で「このままずっと家族ごっこは続かないよな・・」という思いがあったのだと思う。ある程度の稼ぎができた私は快適な楽園ネバーランドから、鬼がのし歩く渡る世間に自分自身を追い出してみたのである。ネオがマトリックスを出て現実を知るのとちょっと似ているような気がするが、それはやっぱ気のせいだと反省している。きっと家族は「ついにこの時が来たんだなぁ」と思ったに違いない。

 そんなわけで私の住みか探しが始まった。最初は週刊賃貸とかその手の雑誌である。ビギナーはここからスタートする。しかしこれは失敗だった。「こいつはいい物件だ!」と思って実際に不動産屋に行ってみると「あ〜それは決まっちゃったんだよね〜」とか「あ、そこね。地下だから窓は無いけどいい?」とか「5階だけどエレベータないから」とか言うのである。そして決まってこう言う。「ちょうどね、お客さん向きの物件があるんだよ!」って。「さらうぞ!てめぇ!おいらはこの物件が見たくて来たんだっつーの!」とは言わなかった。これが奴らの生きる道なのだ。つまり雑誌に載せる情報は「客寄せパンダ」なのである。キャバクラがB級アイドルの写真を勝手に使ってチラシをまいているのと同じ手口だ。そんなわけで雑誌はやめた。インターネットもまだそれほど普及していなかった時代、結局情報は足で稼ぐことが有効だとわかった。土日はバイクで不動産屋めぐりである。当初これはこれで結構楽しかった。一番住みたい街は下北沢だった。アーバンでクールで希代のマイトガイな私には下北沢の風がぴったりに思えた。ところがここは家賃が高い。駅から遠くても当時1Kで8万円以上したのである。下北沢の風はかなりの北風であったのだ。クレバーな、絵になる男である私はムーンウォークで下北を去った。そこから小田急、京王、東横など各線を探したがイマイチだった。そんな時に「なんの気なし」に入った代々木上原の不動産屋に掘り出し物があった。代々木上原駅徒歩5分。商店街に近く、食い物には便利。銭湯もコンビニも郵便局も近い。これで7.9万円なら安い。違いのわかる男である私は速攻で飛びついた。一瞬この「安さ」が気にはなったが、もはや人が首を吊ってようが、自縛霊がついてようが、両隣が山口組と一和会であろうがどうでも良かった。もうこの頃には部屋探しにうんざりしていたのだ。たしか敷金・礼金と不動産屋の手数料を併せて5ヶ月分を払った。

 夢の一人暮らしが始まった。小さくても城である。衛兵も門番もいないが城である!カリオストロ伯爵なのである!渋谷で飲んでも歩いて帰れる!新宿で飲んでも(気合いを入れれば)歩いて帰れる!六本木で飲んでも(命をかければ)歩いて帰れる!そして何よりも「24時間」を手に入れたのだ!これは大きな経験となった。毎晩、友人を招いてはどんちゃん騒ぎをやった。夏は窓を開け放ってビールに野球観戦。冬は鍋だ。年末はクリパーだ。夜は代々木公園までランニングだ。土曜日の昼食はクックドゥだ。麻雀もやれば仕事もする。夜はシアターへ早変わり。俺は一人暮らしの王だ。英語で言えばキング・オブ・シングル・ライフだ!ラックス・スーパーリッチだ!そして足は中型のバイクだ。どこへでも行ける。何でもできる。タフでクールでセクシーでプリティな俺はアーバンライフを満喫したって寸法さっ!

 たった2年だけのシンデレラのような期限付きの経験だったが、この時のことは一生忘れられない。今思い出しても目頭が熱くなると同時に酸っぱいゲロの異臭が鼻を突く。まぁこんなシチーボーイの私にもそれなりの青春の熱い想いがあったわけだよ、アニキ。セントエルモの火だよ、ファンダンゴだよ。(ちなみにこの部屋はこの後、会社の後輩に譲った。彼も満足していたようだ。私は伴侶を迎え田園都市線に引っ越した。)

 なんか何の話を書いているのかわからなくなったな。この辺でやめよう。今でも千代田線で代々木公園、代々木上原を走ると当時を思い出す。あの熱かった時代。俺たちの時代。はかなくも美しく病めるようできらびやかな悩ましき想い出たちよ・・・永久に・・。しかし代々木公園駅はなんでクラッチ臭いのでしょうか。教えておじいさん。


哀愁パンツ Update:2003.7.28.

 前回がちょっと暗めの話だったので、今回は更にダークにしましょう。会社で健康診断を受けさせられた話。それ自体は毎年のことだが今年はちょっと違う。なんと言っても35歳特別検診だったのだ。ひらたく言えば「うんこもってこ〜い!」ってことだ。検便である。検便なんて実はこの人生で一度もやったことがない。ギョウ虫検査はある。小学校時代だったか、とにかくワンワンスタイルになって菊の中心部にセロファンを押しつける方法で学校へ提出したのを覚えている(菊池桃子のギョウ虫に関する都市伝説はもはや有名であるが今回は関係ない)。しかしどういう訳か検便だけは経験がない。年とった人だと「昔はマッチ箱にうんこ入れて、うんぬんかんぬん・・・」とか変な自慢をされる。人は検便話が大好きなのである。

 戦いは前の晩からはじまる。夜9時以降は飲食ともに禁止。それは何とか我慢できる。そして夜、検便・・・。知ってますか?今の検便を!まず洋式便器の陸地部分にトイレットペーパーを敷き詰める。次に、おもむろにトイレタンクにハグをするように逆向きに座るのである(便宜的にこのスタイルをハグ・スタイルと呼ぶことにする)!つまりうんこを海に落とさずに陸地で確保しようという作戦である!なんて間抜けなハグ・スタイル!現代のテクノロジーは月へ人間を送って帰らせることができるのである!地球の裏側の人とお話もできるのである!遺伝子操作でクローンだって作れるのである!あぁそれなのに、それなのに・・・・僕はトイレのタンクを抱えてうなっているのである。当然出ない。いつもは自分の意志とは無関係に出動しまくる僕の分身たちは今日に限って(やはりこのハグ・スタイルにかなりの違和感を覚えているに違いない。)出動を拒んでいる。何回かのトライののち、ついにリリースに成功。次に、尻も拭かずにうやうやしく「耳かき状の棒」を所定のケースから取り出す。彼らの表面を棒で撫でる撫でる。棒についているギザギザの部分に彼らを付着させるのである。それが終わるとケースに棒を戻す。ここでやっと尻を拭く。流す。なんて間抜けなんだろうか・・・・。母さん、おいら泣けてくるよ。同じ作業をベッカムがやってもきっと間抜けに見えること請け合いである。この悲しみのハグ・スタイルは翌朝にもやらされた。(2回分を提出する仕組みなのである)

 当日。検診会場に赴く。某巨大銀行グループ系である当社はこの銀行の健康診断に乗っかっているのである。巨大な会場で身長、体重、視力、血液検査、心電図、レントゲン、問診を受診。なんだ、検便以外は普通の健康診断と一緒やんか〜、と安心しかけた所に落とし穴があった。胃の検査である。会場の隅の受付で健康診断カードを男性に渡すと、「はい、じゃそこのドアから出て階段を下りてください。外に車がありますので2号車へ」と言われた。雨が降るなか、一旦外階段を歩かされるのである。確かに車が3台ほど停車している。大型バスのようだ。バスの後部入口では茶髪、白衣の姉さんが傘を持って待っている。「2号車ですか、じゃ〜車内で服を脱いでください」心なしか彼女の口の端が笑っているような気がする。気のせいだろうか・・・。

 上着とYシャツとTシャツを脱ぐ。「ズ、ズボンも・・・ですか?」「はい、ベルトのバックルなんかがあるとうまく写らないので下着になって下さい。」「・・・・・・。」ちなみに機械でうもれた狭い車内には2名程度の例の茶髪のお姉さんがいるのである。年の頃はそう、、、25〜30くらい?その前でパンツ一丁になる。パンツ、汚れてなくてよかった。脱いだ物を丁寧に畳む気弱な俺。「はい、これ飲んでください。」バリウムである。これが噂のバリウムなのである。白くてドロっとして・・・・とにかく飲んでみる。量は250mlは余裕でありそうだ。飲んでいる途中で「これ、、恐ろしくまずいですね〜」とギャグを飛ばして見るも「飲み物じゃありませんから。じゃ全部飲んでください。」とあっさりかわされる。きっと100人のオヤジがいたら100人ともが同じような事を言っているのだろう。それを散々聞かされている彼女らにとってはこの程度ではちっとも面白くないのである。よっしゃ、もっと面白いことを言ったろうかいと思ったが時間の都合上諦め、バリウムを飲み干す。すると次に「これ発泡剤です。お腹を膨らませるために飲んでもらいます。飲んだ後ゲップはしないようにしてください」と細い棒状の銀のパックを渡される。風邪薬の顆粒のようだ。水と一緒に飲む。と同時に「ウグェップ!」と強烈にゲップを出してしまった。姉さんは俺を睨みつつ、「ではこちらの部屋へ」。

 案内されたのは4〜5畳ほどの狭い機械だらけの部屋である。蛍光灯の明かりが妙に暗くて怖い。真ん中にベッドらしきものがある。「らしき」と書いたのは、それが別に柔らかいわけではなく、塩ビ素材かなんかが剥き出しの単なる分厚い板であるからだ。入り口は閉まりマイクを通して無機質な声の命令が届く。「そこに寝てください。」これで手足を縛られたら仮面ライダーの改造手術である。などと思っていたら「寝ながら右回りに3回、回ってください。ゲップはしないように!」・・・なんて事だ!俺はパンツ一丁の情けない姿にされた上に変な台の上で踊らなければならないのである!医者の言うことだから聞かない訳にはいかない。しかし心の奥底では「これ、どっきりカメラじゃないだろうなあ・・・」と考えていた・・。だって冷静に見たらかなり間抜けな絵である。もし今「回ってからワン!と言って下さい」と言われれば間違いなく言うであろう・・・。そしてそれはテレビ的にはきっと「おいしい絵」なのであろう・・・・・。

 運動するために胃の中の発泡剤が活性化する。もはや胃は破裂しそうである。・・・我慢しながら回転終了。「じゃぁ検査しま〜す、右腰をあげて!もっと!次は右回りにうつぶせになって!はい!左腰を上げて!次はちょっと頭を下げます!」壮絶なバトルの開始だ!マイクの彼女は、右手のコントローラで意のままに僕のベッドを傾ける!ずり落ちまいと必死に手すりにつかまるパンツ一丁の男!スターツアーズ顔負けの体感型アトラクションだ!右だ!左だ!それ!回れ回れ!おいらは意のままに動くマリオネット!まな板の上の鯉さっ!さぁどんどん命令してくれ!きゃははは!たのしー!それっそれ!「すいません、バリウム足しますので一回降りて下さい。」「・・・・・・。」どうも僕の胃はバリウムを急速に吸収してしまったようだ。追加のバリウムと発泡剤を飲む。そしてスターツアーズ第二部が始まり・・・・。

 へとへとになって洋服を付ける。こんな事なら受診しない方が体に良さそうである。ネクタイを締め直していると、カーテン越しに茶髪の会話が聞こえる。「さっきのさ〜オヤジ、そうそう!1250番のオヤジ!○○位のあとに○○位(どうやらレントゲンを撮るときの体位の名前らしい)をやる筈だったのに間違えちゃったのよね〜(笑)。」「うっそ〜でも時々あるよね〜。アタシもさ〜バリウムの量間違えたりしてるもん!」・・・・って、俺のことか!もう脱力しまくりである。二度と検診は受けないぞと心に思ったそんな夏の昼下がりだった。

 翌日、お約束の白いアイツに面会できた。ほんとだ〜白くなるんや〜。友人は「これでイカスミを食べるとパンダちゃんみたいな色柄になるぜよ」と、無くても生きていける知識を僕の脳に植え込んでくれた。


心の闇 Update:2003.6.29.

 人の「心の闇」には決して他人は踏み込めない。改めてそう感じることが起きました。同じ会社の僕よりも8つほど若い青年が事故で(そう信じたい)その命を天に返してしまいました。明るく、後輩の面倒見もよく、仕事も良くでき、しかも若い。当然結婚もしてなければ子供だっていない。人生でまだまだこれからやらなければならないことが山ほどあった筈なのに・・・。恋だって仕事だって、つらいことも楽しいことも、人に騙されることも人を幸せにすることも、これからたくさん待ち受けていた筈なのに・・・。「心の闇」が彼を連れ去ってしまいました。

 今週はじめまで、共に残業して馬鹿話をしていたヤツが銀河系のどこを探してももう存在しないなんて信じられない気持ちです。以前、同世代の芸能人が自ら命を絶ってしまった時や、小学校の複数の児童が暴漢に襲われた時、そういう時に、すごく「嫌」な、一言で言えば「不快な黒い波」のようなものが心を覆ったことがありました。表現が難しいけど波が文字通り波状攻撃でこころの端の方から覆いかぶさってきた感じでした。何故だかわかりませんが、若い命が失われる時に私はそう感じるようです。その日一日はもう何をやるのも億劫でやるせなさと無気力感と深い喪失感。取り返しのつかない事をやってしまったような後悔に似た感覚。

 早すぎる死は本人だけでなく、周りも不幸にします。今回の件で言えば共にチームを組んでいたメンバーたちです。きっと彼らは自分たちを責めるでしょう。周囲は「気にするな」とか「お前のせいじゃない」と慰めるでしょう。当然です。その解釈は全くもって正しい判断です。しかしここにも「心の闇」の問題があります。彼らの人生はもう以前のものとは少し違った角度に変わっているかも知れません。周囲の人間の介在できない所で永遠に解けない問題と向かい合っているのかも知れません。表面上は「大丈夫だ」と言っても一人になると考え込んでしまうのかも知れません。彼らの「心の闇」には誰も到達できないのです。ただ、ひとつだけ言えるとすれば、全く元通りの路線に戻すのは無理としても、ほぼ同じ方向に戻すにはやはり時間が必要だという事です。もし自分が同じ立場だったらやっぱり、とことん落ち込んで、自分の行動に何か問題がなかったか反省して、いやどうしようもなかったんだと開き直って、そういう自分に吐き気がしてまた落ち込んで・・・。

 誰かが「神が人間にくれた最良の贈り物は忘却機能だ」と言ったのを聞いたことがあります。最愛の人や親が亡くなると人間は「もう生きていけない」と感じることがあるでしょう。しかし、それでも生きていかなければいけません。(少なくとも僕は、そう思う)神はそういう人のために忘却機能を付加してくれました。どんなに愛していた人でも、20年たてば多少はその気持ちは軽くなります。亡くなった直後は5分おきに思い出していた事も、30年たてば年に一度になっているかも知れません。「忘却」は人間が強く生きていくための不可欠な機能なのです。忘れろと言っているのではありません。背負う荷物の一部を神様にも負担してもらうだけのことです。また別な人は言います。「神はそれに耐えられる人だけに試練を与える」つまり乗り越えられる人にだけ試練を課す、というのです。つらい思いをしているときに「このつらさを乗り越えられれば別な道が開ける」と信じて頑張るということでしょうか。なかなか難しいことですが、今はその言葉を信じたい。「人間なんて弱いものだ」と思わずに「人間は運命を背負って立つことだってできるんだ」と信じたい。

 昨夜、この世を後にした彼の、もう使われることのないメールアドレスにメールをうちました。「残念だ。でもまたいつか会えるからその日までさようなら。」


お勧め商品SHOW Update:2003.3.25.

 今回は様々な商品で私が気に入った素晴らしいモノたちをご紹介しましょう。絶対お勧めのモノばかりですので、今すぐ購入することをお勧めします。ダッシュです。あ、そうそう、今日は僕の誕生日です。

革靴
 通勤のための忠実な相棒にして地球とあなたの接点である革靴、あなたは何を買ってますか?バブル華やかなりし頃は私も高級靴専門店(と、言ってもワシントンとかだけど)でブランドもんの革靴を買ったりしたもんです。いやいや、今回はお店の話ではなく、革靴のメーカーについて。日本人は横に平べったい足をしているそうですが、まさに私はEEEサイズ。これまでにいろ〜んなブランド品を買ってきました。特にイタリアンシューズ。イタリアのブランドだと、なんかイタリアの片田舎にいる頑固皮職人が、フェットチ〜ネかなんかを食べながら、「ヴォ〜ノ、ヴォ〜ノ、グラッチェ」とか言いながら、緻密かつ精巧な職人芸ですンばらしい靴を作りそうな、そんなイメージがあったからです。ところがどっこい。いわゆる高級ブランド品はみーんなダメでした。買ってすぐ雨が進入したり、すり減るのが早かったり、靴ひもがほどけまくったり、かかとがグシャグシャに潰れたり、内側の底部の皮がベロベロめくれてきたり、、、、。だめです。全くもっていただけません。3万も払ってこういう目に遭ってはとても我慢なりません。
 そしてガキの頃より今に至るまで結局愛し続けているブランドがREGALです。靴のブランド別にダサイとかクールとか言えるほど詳しくない私ですが、一般的にREGALってそんなに高級じゃないっすよね?靴の流通センターとかそのあたりで1万円ちょいで買えるし、どちらかというとダサイ系かなって気がします。しかし!ここの靴は、壊れない、履きやすい、汚れも付きにくい、使えば使うほど味が出るという素晴らしい靴です。あくまで僕の足に合っているということなんだろうけど。今回このコラムを書くにあたって同社のサイトをチェックしましたが、KスイスやICB、Jプレスなんかも同社のブランドだったんですね。知らなかったYO!とにかく、今後はもう浮気せずにREGALを買い続けることでしょう。しかも時代遅れのウィングチップモデルを!

冷凍チャーハン
 日曜のけだるいブランチ。あ〜作るのも食べに行くのも面倒くさい。あ〜もう人生やめたい。ヘイタクシー!おいらをどっかおいしいレストランへ連れてっておくれ!若しくは誰かうまいもん作っておくれでないかい!・・・という時にあなたは何を食べますか?我が家では前の日のおかずの残りを使ったチャーハンをよく作りますが(というか嫁に作らせますが)、はっきり言って家庭で作るチャーハンはマズ・・・・・いや、ウマクない!どうしてもあの中華屋で食べるチャーハンの味にはなりません。油か!火か!はたまた太極拳をマスターしないとできないのであろうか!?とにかくあの味は出ないのであった。かといって冷凍ものはまずいしなあ・・・。そんなお嘆きの貴兄に贈ります。ニチレイの本格炒め炒飯!もうバカうまっ!冷凍チャーハンの中ではぶっちぎりのうまさです。どう、うまいか。しいていえばご飯がパラパラでうまくて肉もうまくて塩味が絶妙で・・・文章で説明できっかってーの!。これマジでうまい!絶対食おうぜ!アニキ!

アイスクリーム
 「あ〜太りたいぜ!なんでおいらはこんなにガリガリなんだ!デブりたい!ファットになりたい!新幹線でも映画館でも席2つ分を埋め尽くしたい!どうやったら太れるのか、誰か教えてくれ〜!」てな具合に絶叫中の貴兄(いるかそんな奴)にぴったりのアイスクリームをご紹介しましょう。なんだか段々怪しいWEBショッピングっぽくなってきました。
 その昔、ハーゲンダッツにはバニラファッジというそれはそれはおいしいアイスクリームがありました。が、これ、なぜか生産中止になったらしく現在は同社のラインナップから外されています(ちなみに以前、近所のスーパーでこの商品が無くなった時に苦情受付箱に文句を書いたら復活しました。が、また無くなりました。)。不人気商品だったのでしょうか。そこで現在のお勧めはクリスピーサンド(キャラメルorメープル)です。いかにもデブの外人さんが、自宅の巨大なソファーに沈み込んでスーパーボウルを見ながら、バケツサイズのコークと一緒に胃に流し込んでいそうな、そんなアイスです。何がどうしてそうなのか、とにかく甘い。甘いぜ!甘すぎるくらいに甘いぜ!そりゃ、キャラメルアイスをキャラメルでコーティングしたら甘くなるのは当然!一口で後頭部に鈍痛を覚えるほどの甘美な世界が広がります。脳の活動には糖分は欠かせないとの事なので、数学者や哲学者にはぴったり!一個280円とちょっとお高いがこれであなたもホーキング博士だ!

スタバの鬼
 「こんな田舎にもスタバができたぜ!やっほーい!」てな具合で、いざカウンターに行ったら何をどう頼んでいいやら分からなくて、結局いつも"本日のコーヒー"を注文してしまう、そんな小市民のみなさん。おはようございます。そんなあ〜たに朗報です。
 カウンターに行ったら迷うことなくこう言いましょう。まず夏の場合「トール・アイスラテ・ヘーゼルナッツシロップ!」これで決まりさっ!(マッチ)。次に冬場。「トール・キャラメルマキアート!」これが最高っ!(マッチ)。もちろんお支払いはスタバカードでスマートに!よろしく哀愁!(トシちゃん)

餃子の母
 「餃子なら○○だよ!絶対うまいよ!」てな具合に自分の知っているおいしい餃子の店を紹介しまくっているあなた、今すぐ懺悔してください。あなたの今までの人生は過ちでしたよ!
 いやあ〜まるでゴルフについてのうんちくを傾けるように、餃子もフリークの心を離さないアイテムなんですね。何はともあれ、私はゴルフはやりませんが餃子は食べます。そして今世紀最高にノってるスーパーうまい餃子があるんです。それがぎょうざの満州です!母の知り合いの紹介で注文してみました。まず安い!120個のセットで送料込み3,225円!一人暮らしの人にはちょっ〜多いが、冷凍ものだから冷凍庫にスペースさえあれば、いつでも最高にうまい超絶美味な餃子ちゃんを喰うことができてしまうんだぜ親父!まじです。ほんとに今までの常識がひっくり返って思わずアラビア半島に行ってジハード(聖戦)に参加したくなるほどの旨さです。このページから注文できるので買ってみて!ちなみにフセインの次男はクサイ氏。


サムライスピリットと小田急線 Update:2003.3.14.

 ずいぶん前になるが、ビートたけしが著書の中で「震災なんかで家が壊れたとかいうと、すぐどっかに"補償しろ!"って言う奴が出てくるけど、一人くらい、"おいらは国には頼らない、自分の事は自分でやるぜ"って奴がいてもいいんじゃないか。」と言っていた。程度の差こそあれ、この意見の方向性には大賛成である。今、世の中的にどうも「誰かのせいにする」傾向が強くないか。
 例えば知り合いの住むとあるマンションでこんな事があったそうだ。住民のある方がマンションの機械式駐車場に駐車する際、アクセルを踏みすぎて車止めを越えて、後ろの配電盤に激突。後部窓ガラスが割れて、破片が後部座席にいる子供たちに降った。別にけがは無かったようだが本人は大慌て。当時私の知り合いはマンションの管理組合理事長をやっていたので対応した。で、他の理事会メンバーと一緒に、事故を起こした本人から詳しく話を聞いた。それによると「アクセルをちょっと踏みすぎたために"車止め"の真上にちょうどタイヤが止まってしまった。その後、後ろ側にタイヤが落ちた。あの車止めは低すぎる。また、あの位置に配電盤があるのは危ない。子供に怪我があったらどうするんだ。組合は再発を防ぎ、メーカーは補償すべきだ。」との事。しかし、である。私も機械式駐車場をもう何年も利用しているが、一度として車止めを越えたことはない。理事長は一応、メーカーに問い合わせてみたところ、車止めというのはメーカーが「駐車の目安として」つけているものであり、法的に取り付けが義務づけられている訳ではないとのこと。つまり駐車する一人一人が自己責任で注意しなければならないのだ。私がもし同等の事故を起こしたら恥ずかしくて世間には公表できないだろう。自分の運転ミスを棚に上げて、責任を他に求める、という姿勢はいかがなものだろうか?自分でやったことなんだから、自分でケツをふくのが当たり前だと思うのである。この考え方は間違っているかなあ?結局この時は事故の経緯と、再発防止のため注意を呼びかける張り紙を掲示することで一件落着したそうです。
 日本もアメリカになっていくようだ。アメリカという国はマクドナルドのコーヒーでやけどをしたと言って数億もらえる国である。(さすがに、マクドナルドを食べ過ぎて太った!という理由で訴訟を起こした奴は敗訴したらしいが・・・)そういう奴がそのうち日本でも出てくるのではないか。奥ゆかしさ、譲り合い、わびさび、侍の心といった日本人の美徳はどこに行ったのだ。もちろん弊害もあるが、今はあまりにひどい世の中になってしまった。少し気を付ければもっと住みやすい国になる筈だと思うのだが。
 あなたは小田急線を知っているだろうか!そりゃもちろん知っていると思うが、小田急の先進性を知っているのか!?私は小学生の頃から30年近く小田急線を足として愛用しているが、先日びっくりした事があった。それは電車内での携帯電話使用についてである。携帯電話の車内利用に関する問題点は概ね以下3点でろう。1.着信音がうるさい 2.通話中の声がうるさい 3.電磁波が医療機器の誤作動を招くおそれがある もう長いこと小田急線でも杓子定規に「車内で携帯電話を使用しないでください」と警告していたが、それがこの程変わったのである。現在小田急線に乗ると次のようなアナウンスが流れる。「携帯電話はマナーモードに切り替え、通話はご遠慮ください。また、優先席とその周辺では電源もお切りください。」 このアナウンスは異常〜に的確である!上記問題点のうち1,2はこれでクリアされるのだ。また、3についても、ペースメーカー等を利用している客が優先席あるいはその周辺にいてくれるのであればクリアである。何とゴイスーな決断なんだろう!私の知っている限り、他の電鉄でこういう事をやっている会社は無い。
 なんてったって携帯は便利である。通話ができなくてもメールができることでいろいろ物事がスムーズに進むのである。メール以外にもふと思いついたアイデアをメモしたり、スケジュール管理をしたりすることもある。それを十把一絡げ(じっぱひとからげ)に「電源を切れ!」というのは不条理。例えばメール利用に関しては上記1,2の問題は起こさないのである。また、携帯ばっかり目の敵にされるが、車内でパソコンを広げる奴もいればPDAに文字を書き込んでいる奴もいる。それらにだってモバイル機能が付いている昨今、電磁波なんてどっからだって出ている筈なのだ。話がそれたが、小田急はメール利用を公認はしないまでも黙認する姿勢が偉いんだぜアニキ。
 いろいろぐちゃぐちゃ書いたが、とにかく小田急偉い。小田急マンセー!ストライキもないし!乗ってる女の子はかわいい!そう思いませんこと?(お蝶夫人)


新年を迎え、取りあえず憤ってみよう! Update:2003.1.13.

 明けまして。特に目出度くもないので。ま、よろしく。それでは新年一発目のコラムです。憤ってみよう!!

 やっぱり電車だ。どうしてもこの手のネタが多いな。まぁひとつ勘弁してください。電車通勤している人は、そこに暗黙のルールがあることを知っている。ここでいちいち上げないが、当然、皆がそのルールを守っているからあれだけの密室に大勢の人間が詰め込まれてもそれほどトラブルが起きないのだ。(たま〜にあるけどね・・) ところが地球には不思議なことにそういうルールを超越した輩がかならず数パーセント存在するのだ。そういうヤツがいると、付近の乗客はえらい迷惑を被ることになる。こないだそれが自分に起きた。

 混んでいる横浜線で椅子の前の吊革につかまって立っていた私。今夢中になっている宮部みゆきの「模倣犯」(「蒙古斑」ではない。この人の本をはじめて読んだが、その描写の細かさに辟易した。かなりの描写マニアだ。だが、ストーリー展開はなかなか面白い。一読をお勧めする)に熱中していた。私のとなりには今時の若いあんちゃんがだらしない格好で吊革にぶら下がり、彼の正面で座席に座っている、ゴジラのような顔をした友人(女性)と話をしていた。ある駅に着いた。そこで僕の正面に座っていた会社員が降りた。(ラッキー、町田までかなりあるから、座って本が読める。こいつは春からついてるわい♪) ところが、である。次の瞬間、信じられない光景が私の眼前で展開された。私の斜め前、つまり、あんちゃんの正面に座っていたゴジラ(女性)が、なんと私の正面にスライドしてきたのである!私は我が目を疑った。こ、この女は、、、このゴジラ顔の女は、ルーマニアの宇宙人よろしく座ったまま平行移動しやがった!
 お前なぁ!電車の座席というのはなぁ!王が座する文字通り「王座」なんだよ!!そして、その正面に立って秘かに順番を待っている者が王位継承権第一位を持つのだ!それが電車の中の常識だ!コモンセンスだ!これこそが暗黙のルールじゃないか!・・・心の中で私は叫んだ。回りの乗客も明らかにあっけに取られている。しかしそんな周囲の視線も気にせず、彼女がずれたことでだらしないあんちゃんが喜々として座席に飛びつく・・・・・。まるで毒薬を用いて不正に王座に昇った暴君である・・・。

 もちろん、このようなルールが電車の壁に貼られているわけではない。つまり公式ルールではないのだ。UNOをやっていて、「Draw Twoが偶数枚重なった時はDraw Fourを出してもよい」と言う全国民の80%が知っているようなルールも、ルールブックに書いていなければ所詮、ローカルルールなのである。UNOの世界大会(そんなものがあるのかどうか知らないが)ではそれは認められないのだ。

 最早、私にはどうすることもできなかった。立ちつくし、気づかない振りで「模倣犯」(蒙古斑ではない)を読んだのだった。いや、正確にはひとつだけ手が残されていた。そう。私は本で顔を隠し、心の中であんちゃんと女性に対して呪いの呪文を唱え続けた。。。


最新版  2007年版  2005年版  2004年版  2003年版  2002年版  2001年版  2000年版  1999年以前